【読書感想文】嵐が丘

個人評価:4.5/5

 私はイギリス文学の背景や世界観が好きなので、前からイギリス文学で有名なこの作品に興味があった。しかし内容がヒースクリフという男の二世代に渡る復讐劇と聞いていたので、暗くて重い話だろうと、読むのに躊躇していた。だが、コロナのためずっと図書館が閉館していて本が読めず、読書欲が高まっている今なら読めるかもと思い、読んでみることにした。

 内容はとにかく悪魔のように復讐に燃えるヒースクリフと二つの家族の話なのだが、私はヘラトンという青年がとにかくかわいそうだった。

 ヘラトンはヒースクリフが最も憎んでいる男の息子だからという理由だけで、教育をまったく受けさせてもらえないという仕打ちを受ける。簡単な読み書きそろばんもできず、他人に対する言葉遣いや態度なども教えてもらえず、1日をきつい肉体労働をして飯を食って寝るだけという生活をさせられる。

 そしてヘラトンは生まれつき頭も良く意欲的で素晴らしい人生を送る素質があるのに、教育を受けていないため、周りからバカにされ続けるのだ。

 暴力など目に見える虐待もひどいが、教育を受けさせないというやる気や素質のある子供の可能性を潰す行為はとても残酷だと思った。幸いラストにはヒースクリフがあっけなく死に、その後ヘラトンは愛する女性を見つけ、一緒に色々と学んでいける展開だったのでホッとした。

 この物語は、途中はヒースクリフがひどすぎて嫌になる場面もあったが、続きが気になりあっという間に読み終えることができた。読後感も意外と悪くなかったし、色々学ぶことも多かったので、たまにはこういう内容も本も読んでみてもいいかと思った。

 

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2020.6.25読了