【読書感想文:ネタバレあり】永遠のアダム 作:ジュール・ヴェルヌ
今までの漂流もののイメージを覆す作品
個人評価:3.5/5
ジュール・ヴェルヌの短編作品。最初設定が突飛でちょっと苦手かなと思ったけど、途中から面白くなった。ある学者が人類の進化論を調べていたら、進化の途中経過もなく突然人類が現れたことに気がつき、たまたま発掘された文書を解読してみると衝撃の真実が!!という話。
今まで読んできた漂流ものの物語では、漂流しても文化的な生活をすることが多かったけど、今作では、漂流後に生まれた子供達に言葉や文字の伝達もせず、衣服も着ず裸で暮らして、どんどん原始人になっていく。食べ物の確保に精一杯っていうのもあるけど、もう元の生活には絶対戻れないことから、絶望してやる気をなくしたから原始人になってしまったのではないかと感じた。
人間が文化的な生活をするのは、漂流前の生活に戻れることを信じ、その時困らないように、教養を維持したり、健康に気を付けたりしているのだろう。もう文明が滅びて自分たちしか地球上にいないとなったら、また一から頑張ろうとは思えないのではないだろうか。なんかズシーンと重く、色々考えさせられた作品だった。