【読書感想文:ネタバレあり】三軒茶屋星座館  作:柴崎 竜人

何この神話、まじウケるんですけどー。
個人評価:4.5/5


 私は昔から星の世界が好きである。プラネタリウムも好きだし、ペルセウスとかアンドロメダというフレーズを聞くとなぜがキュンとする。しかしなぜか星座や星々について何度プラネタリウムで解説を聞いても全く覚えられないのである。

 そんな私にとってこの作品は画期的だった。主人公がプラネタリウム兼バーを経営していてお客様に星空の解説をするのだが、その解説が若者言葉を多用し、とっても砕けた内容なのだ。

 例えばやぎ座の話はこうである。やぎ座のモチーフになった神様はパーンといい、牧羊の神でヤギの顔をしたおじさんである。天界きってのお調子者で神々の宴会ではいつも宴会部長になるそうだ。そんなパーンがいつものように宴会で踊っている時、誰もが恐れている悪者の神が現れる。慌てて逃げるパーンの前に川が流れていたので、魚に変身すれば速く泳いで逃げられると思い、パーンは魚に変身しようとした。しかしおっちょこちょいのパーンはなぜか上半身はヤギのままで下半身だけ魚になってしまった。

 その姿を偉大な神ゼウスが見て「何あの姿、まじウケるんですけどー。写メに撮って星座として空にアップしちゃおーっと☆」と言ってパーンの恥ずかしい姿をやぎ座にしてしまったのである。(やぎ座の星図は実際に上半身がヤギで下半身は魚である)

 この神々の話し方が、現代の若者言葉なのがすごく神話の世界を身近に感じさせくれる。今までプラネタリウムで聞いてきたまじめな解説では全然覚えられなかった星座に関する神話が、この作品によっておもしろく覚えることができた。

 そしてこの作品はひとつの神話に一人のバーに来たお客の問題を照らし合わせてストーリーを展開していて、神話と実社会の話のMIX具合がちょうど良かった。この作品はあと3冊続いており、その中には私の星座の話もあるようだ。どんな神話かとても気になる。

 

f:id:ankolemon:20191101173013j:plain

2019.11.1読了