【読書感想文:ネタバレあり】阿刀田高の楽しい古事記  作:阿刀田 高

今後旅行先などで神社に参拝に行く際は、祀られている神様にも注目してみようと思った。
個人評価:4/5


 前回ギリシャ神話を学び、日本の神話に興味を持ったので、古事記をやさしく解説している今作を読んでみた。「古事記」とは日本史に出てくる単語としてしか認識したことがなく、まったく内容を知らなかったが、日本という国の誕生から聖徳太子の時代頃までの歴史をまとめた本のようだ。

 前半は日本の国土がどのようにできたのか、神々の恋や争いなど、ギリシャ神話と似たエピソードもあり、とても面白く読むことができた。

 私の祖母の家の近くに玉依姫命(タマヨリヒメノミコト)神社という神社があり、親せきから天照大御神アマテラスオオミカミ)のお母さんを祀っている神社であると教えられていたが、どうやら玉依姫は初代天皇神武天皇のお母さんであるということがこの本を読んで判明した。

 今まで日本の神話に興味がなく、調べたこともなかったが、神話を学ぶと神々のことが身近に感じられる。今後旅行先などで神社に参拝に行く際は、祀られている神様にも注目してみようと思った。

 古事記の中盤以降は神武天皇から始まる天皇家の歴史について記されており、権力争いが主な内容になっていて、正直あまり面白くなかった。

 そもそも古事記大和朝廷天皇家)の権力をアピールするための物で、前半の日本の誕生においても、天皇家の祖先である神々の活躍を描いて、「どうだ、私たちの祖先はすごいんだぞ!」ということを伝えているのである。

 実在しない人物も多数つじつま合わせに登場したり、結構フィクションが多いらしい。でもフィクションはフィクションで古事記の前半は物語として楽しめたので良かったのだが、後半の天皇家の権力争いについては、フィクションもあまり工夫されておらず、妙にリアルな場面もあり、話が全体的に尻すぼみに感じた。

 どうせ今から何千年も前の話なのだから、事実はどうであれ、もっと夢物語にしていただけると私たち現代人には古代の浪漫を感じることができて良いのではないだろうか。次回は日本の神話をモチーフにした浪漫いっぱいの小説を読んでみたいと思う。

  

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2019.12.21読了