【読書感想文:ネタバレあり】ラ・パティスリー/ショコラティエの勲章 作:上田 早夕里
ケーキを両手で鷲掴みにして食べたいだなんて言っちゃいけません。
個人評価:4.5/5
この2つの作品は洋菓子職人(パティシエ)とチョコレート菓子職人(ショコラティエ)の物語で、読後、スイーツに関して少し考え方が変わったような気がした。
私は甘いものや油っぽいものが昔から好きだが胃腸が弱く、体があまりそれらを受け付けない。でも食欲だけは人一倍あるので、「ケーキを両手に1つずつ手で鷲掴みにして交互にガツガツ食べてみたい」といつも夢見ているのだ。
しかしこの物語を読むと、いかにお菓子職人たちがケーキやチョコレートを懸命に作っているかがわかる。生菓子は作り置きができないため、朝から晩まで丁寧に細かな作業で作り続け、その間に新しいデザインやレシピを考えたり、良い原材料を求めて生産者を訪ねたりと、日々お客様のひと時の喜びのために働いているのだ。そんな心がこもったケーキを両手で鷲掴みにして食べたいだなんて、失礼極まりない。反省である。
そしてこの物語のパティシエはとても謙虚で、お客様が一瞬でも幸せになってくれたら嬉しい、その一心でお菓子を作っていて、別に褒められたいなんて思っていないというのだ。でも逆にそんなパティシエの作る誠実なお菓子だから評価されるし、お客様にとって一生心に残るお菓子にもなるのだろう。
私の今までの夢を「どこかの素敵なパティシエが作ってくれた、一生の思い出に残るようなケーキにいつか出会ってみたい」という内容に変更しようと思う。