【読書感想文:ネタバレあり】ジェイン・エア  作:C.ブロンテ

心から幸せになるには、安易に妥協したり楽な道に逃げずに、自分の心に真摯に向き合うことが大切なのだ。
個人評価:4.5/5


 この物語はジェイン・エアという1人のイギリス人女性の半生を描いた作品で、文庫本1500ページもの大作であるが、とても面白く読むことができた。

 ストーリーは幼いころのつらい身の上から苦労して自立し、ある男性に出会い愛し合うことになるが、ある出来事からその男性と別れることになり、さらにジェインは一文無しの身なってしまう。しかしまたある出会いがあったおかげで立ち直ることができ、叔父の遺産を引き継ぎ裕福になり、紆余曲折の末、本当の愛に再度出会うという波乱万丈の物語である。

 この作品を読んで、私はジェインの心の強さに驚かされた。ジェインは自分の中にいる天使と悪魔にことがあるたびにそそのかされるのだが、どんなに悪魔が甘い誘惑をしても決して屈せず、天使を必ず選ぶのである。

 ジェインが好きになった男性ロチェスター様には狂人になってしまった妻がいた。しかしその妻の存在をひた隠しにしてジェインに結婚を申し込んだ。そして結婚式の途中で妻の存在が明らかになり、ロチェスター様はジェインに自分には妻がいるが、妻はもう人としては生きることのできない状態だから、私に生きる意味を与えるために結婚してくれとジェインに懇願するのだ。

 ジェインはロチェスター様を心から愛していたので一緒にいたいが、重婚になるため正式には結婚できないことに葛藤する。狂人の妻はひた隠しにされているし、二人で外国で暮らせば他人にはとやかく言われる状態にはならないだろう。しかしジェインは自分の良心、信念を曲げて一緒に暮らしても、いつかは悩み悲しむ日が来ると確信し、ロチェスター様のもとを去るのである。

 もし自分がいなくなったらロチェスター様は生きる希望をなくし、自暴自棄になるだろう、愛する人のそのような状態を危惧してジェインは思い悩むが、自分の良心に従うのである。この出来事の後にも同じように選択を迫られる状況がやってくるのだが、その際もジェインは心の中の天使と悪魔のささやきに誘惑されながらも、自分の良心に忠実に生きるのだ。

 もし私がジェインと同じ状況になったら、考えるのに疲れてその時一番楽である選択肢をとってしまうと思う。人から懇願されてそれを拒否するには相当な精神力が必要だろう。ジェインは幼いころから苦労したが自分の心に忠実に生きてきたから、最終的には幸せになれた。

 心から幸せになるには、安易に妥協したり楽な道に逃げずに、自分の心に真摯に向き合いそれに従うことが大切なのだとジェインから教わった気がする。

 

f:id:ankolemon:20191124105106j:plain

2019.11.23読了