【読書感想文:ネタバレあり】月と六ペンス  作:サマセット・モーム

どうやら天才と呼ばれる画家は、一般人とは魂の住んでいる世界が異なっているらしい。
個人評価:3.5/5


 この作品は画家のゴーギャンをモデルに、ある画家の半生を描いた物語である。実際のゴーギャンの半生とは異なる面も多いとのことだが、画家という存在について色々と学ぶことができた。

 私は音楽や読書はとても好きで素人ながら楽しむことできるのだが、正直絵画や彫刻についてはよくわからない。美術館などに行っても「へえーー。」で終わってしまい、その作品の素晴らしさを感じることが難しいのだ。

 しかしこの物語を読んで、その理由がわかったような気がした。少しスピリチュアル的な話になるが、どうやら天才と呼ばれる画家は、一般人とは魂の住んでいる世界が異なっているらしい。

 この作品の画家ストリックランド(ゴーギャン)は、中年まで会社員として家族を持ち普通の人生を過ごしていたが、ある日「私は絵を描かなければならない」とすべてを捨てて絵描きになったのだ。絵描きになってからは自分の心に忠実になり、他人には無関心で世間の目も気にせず、自分の理想とする絵を描くことだけに興味を持った。

 私はストリックランドの魂は一般人よりも神に近い世界にいて、一般人とは違う世界が見えていたのだと思う。だから一般人と同レベルで争うことにも興味がないし、描く絵も一般人の見ている物の色や形と違って独特の世界に仕上がっているのではないだろうか。

 美術館には一般人とは違う世界を見ている画家の作品が主に展示されているため、ごく平凡な一般人の私には理解できないのであろう。

 実際のゴーギャンの半生とは違うとのことだが、自分とは違う世界に住んでいる人が見ていた世界であるという前提のもと、一度彼の作品を鑑賞してみたいものである。

 

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2019.11.15読了