【読書感想文:ネタバレあり】小さな家のローラ  作:ローラ・インガルス・ワイルダー(絵・訳:安野 光雅)

トウモロコシのスーザン・・・けなげなローラがとにかくかわいい!!

個人評価:5/5

 

 私は子供の頃にテレビで「大草原の小さな家」をよく観ていた。昨年BSで再放送をやっていたので、毎週かかさず観ていたのに、なぜか突然終了し、不満に思っていたところ、図書館でこの作品を発見したので読んでみることにした。

 本作の元になっている「大きな森の小さな家」はドラマ化されている時代設定の前の物語で、本作はローラがまだ4~5歳の時、西部開拓する前に一家が大きな森の中で暮らしていた頃の1年間の様子を原作を元にイラスト付きで描いている。

 当時は日本では幕末の時代で、電気、ガス、水道はまだ一般的ではない。インガルス一家が住んでいる場所は夏は過ごしやすいが、冬は猛吹雪に襲われる。そのため、冬に寒さや飢えで苦しまないために、森で捕ってきた獲物を長期保存できるように燻製にしたり、牛乳からチーズやバターを作ったり、野菜を上手に保存していく。

 また着る物も自分たちで作っていく。生地や糸だけは街に行って獲物の皮などを売り、そのお金で買いはするが、そこから先は全部手作りだ。この作品は数々の品を手作りする工程がイラストで表現されているので、とても分かりやすく勉強になった。

 そしてこの作品の最大の魅力はローラの家族たちである。とうさんは優しく頼りになり、かあさんは働き者で料理上手、そしてローラは素直で元気でとにかくかわいいのである。

 お姉さんのメアリは布でできた人形を持っていたが、ローラはまだ幼いため布の人形を持っていない。そこでローラはトウモロコシの芯をハンカチでくるんで顔を書き「スーザン」と名付けてかわいがる。

 現代の子供たちは欲しいと思ったらすぐ買ってもらえるが、ローラはとうさんたちが苦労して働いているのを知っているから布の人形が欲しいとも言わず、けなげにトウモロコシで工夫して遊んでいるのだ。そんなローラがついにクリスマスに布の人形をもらったシーンはこちらまで嬉しくなってしまった。

 また、その時に人形をもらったのはローラだけだったので「他の子にも貸してあげなさい」とかあさんに言われたローラは、本当は独り占めしたかったに違いないが快く貸してあげた。日ごろからローラやメアリはおいしいお菓子などを誰かにもらったときは、必ず少し残しておいて妹のキャリーやかあさんへのおみやげにするのだ。

 こんなに良い子に育つのは、やはりとうさんかあさんが素晴らしい人だからだろう。この作品を読んで、インガルス一家を見習わないといけないなあとつくづく感じた。

 次回はローラが14~15歳になった頃の作品を読む予定である。かわいいローラがどのような青春を送るのか楽しみである。

 

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2020.2.3読了

 

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右がスーザン