【読書感想文:ネタバレあり】むかしむかしあるところに、死体がありました。 作:青柳 碧人
「本は見た目が大事です!!」と大きな声で言いたい。
個人評価:4/5
この作品は誰でも知っている日本の昔話の裏側で誰かが殺され、その犯人を突き止めるちょっと変わった短編推理小説である。一寸法師、花咲じいさん、鶴の恩返し、浦島太郎、桃太郎の五つの物語をモチーフにそれぞれ事件が起こる。
風変わりな表紙とタイトルからちょっとコメディタッチな作品なのかと思っていたが、しっかり真面目な推理ものになっていたので、逆に私はちょっと残念だった。設定が変わっているだけの普通の推理小説に感じてしまったのだ。
凶器やトリックに使われるアイテムが、打ち出の小槌(物を大きくしたり小さくしたりできる)や天狗のクワ(呪文を使うと何十倍の力で掘れる)、鶴のはごろも(はおると自分の重さがなくなる)など昔話に沿ったものであることは面白かったが、もっとクスッと笑える場面もあった方が表紙を見て奇想天外なストーリーを期待した読者も満足するのではないかと思った。
この作品から表紙と内容が合ってない本が世の中には結構あるように感じ始めた。内容と見た目(表紙)のギャップがありすぎると残念な結果になってしまうので、「本は見た目が大事です!!」と大きな声で言いたい。