【読書感想文:ネタバレあり】宝島 作:スティーヴンスン
物語を純粋に楽しむためには「名作である」という先入観は不要である。
個人評価:3.5/5
児童文学の名作と言われている物語だったのでかなり期待していたが、私には「普通のお話」だった。ある日少年が宝の隠されている島の地図を見つける。その島に舟で宝探しの旅に出るのだが、その船員の多くが海賊で、船に乗っていた一般の人間と海賊との戦いが始まる・・・というストーリー。
この物語は宝島というタイトルだが、宝探しはあっという間に終わってしまうので、要注意だ。宝探しよりも主人公の少年や海賊のリーダーの心情やお互いのやり取りなどが詳細に描かれているのだ。また、突然海賊と旅をすることになった少年の生きて帰るための行動や、海賊同士の暗黙のルールや上下関係などを楽しむにはこの本は良いだろう。
しかし残念なことに一番読みたい海賊との戦いシーンや宝探しのシーンはかなりあっさり描かれているのだ。この作者は先日読んだ「ジーキル博士とハイド氏」も書いているので、人の心理について書くのが得意なのだと思う。
さらに私は穏やかな雰囲気の物語が好みなので、海賊ものは根本的に合わなかった。でもこの物語をあまり楽しめなかった原因はおそらく「名作である」という先入観だったような気がする。