【連ドラ感想文】DIVE!!

彼らはライバルだが同じ方向を目指すある種の“仲間”なのである。

個人評価:5/5

  この作品は水泳の飛込み競技に打ち込む少年たちの日々を描いた物語である。

 新しくダイビングクラブに来たコーチが、それまで普通に練習していただけのある少年の才能に気づき、オリンピックを目指すよう指導していく。その少年とダイビングクラブのメンバー達の悩みながらも日々成長していくストーリーだ。

 物語の中盤でそれまで一緒に楽しく練習してきた仲間が主人公の少年からどんどん実力が引き離されるのに気が付く。幼い頃は自分の実力の方が上だったはずなのに、と嫉妬や焦りが湧いてくる。

 結局彼は飛込みを辞める選択をするのだが、その際「飛込みが野球やサッカーなどのようにチームでやる競技だったら良かったのに。」と言う。

 私はその時とても納得した。個人でプレーする競技は自分以外全員ライバルになるが、チームでやる競技ならメンバーと励まし合いながらプレーできると。

 しかし最後までこの作品を観た後は少し変わった。

 個人競技でも同じくクラブのメンバー以外にも全国から大会に参加する同じくらいの実力のライバルたちと顔見知りになる。そのライバルたちはそれぞれオリンピックや自分で決めた目標に向かって努力している。

 お互いの実力や日々の努力を認め合って正々堂々と競い合う彼らは、ライバルだが同じ方向を目指すある種の“仲間”なのである。

 そのライバルが大会に出ないと自分が勝っても嬉しくない。そいつに勝ってこそが自分が求める勝利なのである。日々のつらい練習に負けてしまいそうな時もそのライバルに負けないため、そして自分で決めた目標を果たすために極限まで努力する。

 アスリートとは本当に肉体的にも精神的にも強くないとなれないのだと感じ、延期されてしまった東京オリンピックでそんな過酷な日々に耐えてきた素晴らしいアスリート達の姿を早く見たいなあと思った。

 

f:id:ankolemon:20200526104456j:plain

2020.5.25鑑賞終了