【読書感想文:ネタバレあり】南総里見八犬伝  作:滝沢馬琴(著:猪野省三)

本作のタイトルは「里見義実物語」の方が適していると思う。
個人評価:4.5/5


 日本史で習った本シリーズの中で名前がかっこいい本作を選んでみた。私の事前の知識では房総半島に散らばる不思議な八個の玉の話なのかな?程度である。

 読後の感想は、「え?これで終わりなの?」であった。本作は里見義実(よしざね)という正義感にあふれる若武者が、悪い殿様にたくさん年貢を取り立てられて苦しんでいる房総に住む農民達を助ける話であり、八犬伝らしい不思議な犬と玉に関するストーリーがほとんど出てこないのである。

 戦のハラハラする場面や白竜が現れるなどのファンタジー要素もあり、内容はとてもおもしろかったが、本作のタイトルは「里見義実物語」の方が適していると思う。

 八個の玉に関するその後のストーリーが気になるため、他の著者が書いた南総里見八犬伝を見てみたところ、その本の全編200ページ中の25ページだけが本作の内容だった。

 本作は230ページあるのでそれを25ページにまとめてしまうのももったいないが、原作は100巻近い超大作なので、どの場面に重きを置くかは著者の好みによるのだろう。早く続きを読んで、南総里見八犬伝らしいシーンを堪能したいものである。

 

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2020.1.23読了