【読書感想文:ネタバレあり】生きるヒント 作:五木 寛之

著者は人生に希望は「ない」という。私は「えー、なんでよー。」と声をあげて驚いた。

個人評価:5/5

 この作品はたまたま実家にあったので読んでみたのだが、まず表紙にある「100万部突破!」ということに驚いた。

 調べてみるとこの作品が発行されたのはバブル崩壊の時だったようだ。突然の不景気で人生に迷ったり、将来に不安を感じ、「生きるヒント」を求めた人が100万人以上いたということだろう。しかし現在の世の中でもこの本を手に取る人はたくさんいると思われるが・・・。

 内容は人生論のようだが、堅苦しくなく気軽に読める雰囲気で、「生きるとは」という大きなテーマを上手く扱っていると思った。著者の考え方は大きくは世の中には色々な人がいるけれど、お互い認め合って上手くやっていこうというスタンスだった。

 読んでいる最中、「うんうん、そうだよね。」と納得しながら読むことができ、自分の生きていく上での心掛けていることがそれほど間違っていないことに安心した。

 しかし1箇所だけ著者と意見が違う点があった。著者は人生に希望は「ない」という。私はそのページを開いたとき「えー、なんでよー。」と声をあげて驚いてしまった。でもその理由を読み進めるととても理解できる考え方だった。

 著者は人間は生まれてくる場所やタイミングも選べないし、どんなにお金をかけても地位が高くても100歳くらいまでしか生きられないし、どんな人も最後は絶対に死ぬ。だから希望(永遠?)はないと言うのだ。しかし限りある人生であることを早くから意識して、1日1日を大切に過ごしていくことが重要なのであると言っている。

 私はそういう考えなら共感できる。でも人生に希望は「ない」っていうのは嫌だ。嘘でもいいから人生に希望は「ある」って言ってくれないとどうせ最後は死ぬんだし・・・とふれくされてしまう。私は人生に希望は「ある」を大前提に、自分が良いと思うこと、楽しいことを実行し、充実した人生を生きることを目指そうと思った。

 

 

f:id:ankolemon:20200313114529j:plain

2020.3.13読了