【読書感想文:ネタバレあり】幸福人生まっしぐら 作:宇野 千代

彼女の考え方には納得だが、出刃包丁を持った人に追い回されたくないなあ。

個人評価:3.5/5

 

 この作品の著者は小説家であり着物デザイナーでもある多才な女性である。宇野千代という名前はハンカチなどの小物に宇野千代デザインと書いてある商品がたまにあるので知っていたが、どのような人物なのかは全く知らなかった。

 彼女は明治30年生まれでこの作品は昭和55年に発行されたため、本作は82歳の頃の作品となる。巻頭に彼女の写真が掲載されており、若いころは綺麗で都会的な印象があるが、現在はごくごく普通のおばあさんの姿である。

 エッセイの本文を読むとそんな彼女の考え方や生き方が描かれており、かなり破天荒で激しい人生を送ってきたことがわかる。

 若い頃小説を書きつつ出版社を経営していたのだが、会社が倒産してしまい、出刃包丁を持った借金取りに東京中を追われていたとか。怖すぎる・・・。またモテるのか惚れっぽいのか4回結婚し、4回離婚している。そして何でそんなに必要なのか知らないが今まで13軒も家を建てている。

 一見普通のおばあさんだが、とてもパワフルでやりたいと思ったことはすぐ行動するのがポリシーのようだ。「私にはできないからと、やる前からあきらめるのはおよしなさい」というお言葉が文中に何度も出てくる。

 彼女は失敗も多いがそのぶん成功も人一倍多い。失敗しても逃げればいいのだから、なんとかなるのだからやらないで後悔する人生はもったいないという。その考え方には納得だが、出刃包丁を持った人に追い回されたくないなあ。

 

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2020.3.16読了