【読書感想文:ネタバレあり】イングリッシュローズの庭で 作:ミシェル・マゴリアン

私はこの作品は女性必見の物語だと思う。

個人評価:5/5

 

 この作品は第二次世界大戦が始まってしばらくたった頃、イギリスの海辺の小さな町に疎開してきた18歳の女の子が色々な人物に出会い成長する物語だった。(庭はほぼ出てこない)

 疎開先の屋敷にはいるはずだった主人が徴兵で不在だったため、主人公ローズは姉と二人だけで暮らし始める。ひょんなことから開かずの間の鍵を発見し、その屋敷に昔住んでいた狂人ヒルダと呼ばれる女性の日記を見つける。

 その日記を読み、ヒルダのその時代に合わず狂人と言われてしまった個性や趣味を理解し、当時とても世間から差別されていたシングルマザーとの出会いなどを経て、ローズは「女性とはこうあるべき」という世間の考え方から脱却し、女性らしくないと悩んでいた自分を受け入れていくのである。

 この作品は、当時の女性の恋愛、結婚、妊娠、出産、仕事などの状況をかなり赤裸々に描いている。現在の日本でもシングルマザーや妙齢の独身女性などは世間から色々言われたりしているが、当時はもっと生きづらい世の中だったようだ。

 しかし好きでもない相手に合わせて暮らすことや自分のやりたいことや好きなことを我慢する人生はつまらない。この作品は戦争で愛する人を亡くした女性たちが強く生きていく姿や、少しでも戦地で頑張っている人たちを助けようと自分にできることを探していく女性の姿も表現している。

 私はこの作品は女性必見の物語だと思う。今の時代を生きていく上でもとても参考になったし共感できた。・・・でも男性は女性の真実を知ってしまうのであまり読まない方が良いかもしれないな。

 

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2020.3.11読了