【映画感想文】365日のシンプルライフ

モノが溢れている時代の中で忘れていた「モノとの付き合い方」を教えてくれた。

個人評価:4/5

 この作品はたくさんのモノに囲まれながらも幸福感があまり得られないフィンランドの若者が、ある実験を行う様子を描いたドキュメンタリーである。

 一度持っている全てのモノを倉庫に預け、「1日1個ずつしか自宅に持って帰れない」、「新しいモノは1年間買ってはいけない」この2つのルールで生活してみるのだ。

 最初は裸の状態からスタートするので、まずコート、ズボン、靴と身のまわりのモノから自宅に持って帰る。しかし彼は少し変わっていて下着のパンツはしばらく持って帰らずノーパンで生活している。

 実験当初は彼女がいなかったので最低限の身のまわりの品しか揃えず、携帯電話もなかったので友人と連絡することも減り、生活がつまらないと嘆いていた。

 しかしある女性に出会い初デートをすることになると途端に状況が変わる。

 穴のあいたジーンズからキレイ目のズボンに着替え、ひげを剃り、下着のパンツを履くなど、どんどんと身のまわりの品を揃え始めるのだ。その後もキャンプをしたり、家で二人で過ごすための家具や家電を揃えていく。

 こうして365日が過ぎて彼が感じたことは、生活必需品はだいたい100個くらいしかないが、その後に持って帰ったモノの100個は生活を楽しむために“使う”モノだということである。

 モノを使うことで楽しさを味わうのだ。人が持っているから、流行っているからといって、とりあえずモノを買っても使わなければ意味がない。コレクションといって買っても眺めず押し入れにしまい込んでいるだけでは意味がない。

 当たり前の中の当たり前だが、モノは使うことで価値を見出すのである。この映画はモノが溢れている時代の中で、当たり前だが忘れていた「モノとの付き合い方」を改めて教えてくれた。

 

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2020.5.20鑑賞終了