【読書感想文:ネタバレあり】続あしながおじさん 作:J・ウェブスター

孤児たちのお世話と、クセの強い「敵さん」のお世話、大変だけど頑張れサリー!

個人評価:4/5

 

 この作品は先日読んだ「あしながおじさん」の続編で、前作の主人公ジュディの友人のサリーがジュディの育った孤児院の院長になり、孤児たちの生活環境の改善に奮闘するストーリーである。

 サリーはお嬢様育ちなので孤児院の現実をあまり知らずに院長を引き受けてしまい、当初は辞めたくてしょうがなかった。しかし徐々に孤児院の改善に力を注ぐようになり、孤児たちへの愛情も大きくなっていく。

 その様子をサリーと色々な面で衝突し、サリーから「敵さん」と呼ばれている孤児院の医師ドクトル、サリーの婚約者のゴルドン、そしてジュディへの手紙としてサリーが語っていくのだ。

 サリーは敵のドクトルと本当にいつも言い合いをしており、嫌な人だと思っていたのだが、ある日孤児院が火事になった時、自分の命を投げ出し取り残された子供を助けるドクトルを見て、これまでのドクトルの分かりにくい親切心や尊敬できる仕事ぶりなどを思い出し、自分がドクトルを愛していたことに気づく。

 そしてサリーの仕事を認めてくれなかったゴルドンとは別れ、ドクトルと結婚し、共に孤児院の仕事を続けていくことを決意して物語は終わる。

 この時代女性には参政権もなく、裕福な女性が結婚しつつ責任のある仕事を続けることはあまり良く思われていなかったようだ。社交界で毎日おなじみの顔ぶれとお茶や食事、ゲームなどをして日々過ごすことは、一度やりがいのある仕事を経験してしまったサリーには退屈極まりない生活になるだろう。

 サリーは時には意見が衝突することもあるが、一緒に孤児たちの幸せのために日々奮闘できる夫であり同僚を得て、今後の人生はとても充実したものになるにちがいない。

 かわいいが大変なことの方が多い孤児たちのお世話と、本当は良い人だがクセの強い「敵さん」のお世話、大変だけど頑張れサリー!

 

 

ankolemon.hatenadiary.com

 

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2020.3.6読了