【読書感想文:ネタバレあり】あしながおじさん 作:J・ウェブスター

手紙たくさん読んだ今では、ジュディのことをなんでも知っている友達の気分だ。

個人評価:4.5/5

 この作品は以前テレビで放送していたハウス食品世界名作劇場の「私のあしながおじさん」の原作である。

 私はアニメの方はすでに観ておりストーリーは知っていたし、アニメとは主人公の年齢設定が異なっていたが、雰囲気は同じだったので安心して読んでいられた。

 孤児院で育ったジュディが長い足の影しか見たことのない男性「あしながおじさん」に援助され大学に進学し、青春を謳歌していく様子をジュディがおじさんへ送る手紙のみで表現した物語である。

 ジュディからの手紙だけで物語が進行するので、単調になるのかと思っていたが、作者直筆のジュディが書いたと設定された下手っぴな挿絵があったり、ジュディのその時の感情で手紙の文体が変わったりするので、変化に富んでいてまったく飽きなかった。

 ジュディはとても元気で明るいが、孤児院育ちである事を同級生には言っていない。でもあしながおじさんはその事をすでに知っているので、何でも話せる。何でも話せるけど、会ったことはないという関係がジュディを素の状態にさせ、「ありのままの自分」を手紙に書けるのだろう。

 私ももちろんジュディに会ったことはないが、ジュディからの手紙たくさん読んだ今では、ジュディのことをなんでも知っている友達の気分だ。

 そんな友達のジュディがあしながおじさんの正体でもある大好きなジャーヴィーぼっちゃまと結ばれる結末は、読んでいてとても嬉しくなった。ありのままの自分を好いてくれている人と巡り会えて本当に良かったね、ジュディ!

 

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2020.2.27読了